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2016.01.23 *Sat

【小説】 「それは・・・よくある話のオンライン?!」 第1話(P-5) / 桂木 けい

「ユウちゃん、今回もきっと何とかなるよ・・・ね?」

「回復呪文が使えない以上は、回復薬が尽きたら終わりよ!」

 ユウちゃんと呼ばれた前衛職(といっても1名しか居ないが)の彼女が、時々振り向いては追いついて来たオークに振り向きざまの一撃をお見舞いする。顔面にキツイ一発を貰ったオークが地面に転がると、後続のオークたちが足を取られて転ぶので、そのスキに2人が距離を開けるといったオニゴッコを繰り返している。しかし本当のオニゴッコなら捕まった本人もオニとなるだけだが、命の掛かったこのゲーム内でのソレは死を意味する。

「メイの回復魔法もあるから、まだ大丈夫だよ?」

「でもノンキに詠唱なんてしてたら、それこそ本当にアウトよ!」

 とにかく目前のオークたちを撃退しながら考えてはいるが、多勢に無勢の状況の中リーチの短い格闘ジョブの自分1人で、防御力が”紙”と言われる程度しか無いプリーストの妹を護るのは徐々に難しくなって行くだろう。

「ぅ~ん・・・ユウちゃん強いから大丈夫だよ!」

「いい?いくら強くても一人じゃムリなの、それに後ろへ回り込まれたらどうするのよ?」

 本来このようなMMORPGでは、それぞれの職種(ジョブ)によって役割(ロール)があり、前衛職の役割の一つは敵の進撃を食い止める事が挙げられる。そうする事によって後衛職が弓や魔法などの遠距離攻撃を安全な位置から仕掛ける事が可能になるからだ。

「せめてあと2人、前衛職が居てくれれば呪文詠唱中のメイを守れるかもだけど・・・」

 今回の攻略では教会とそれ以外のギルドとの交流の為に、イロイロなグループからメンバーを募って混成パーティを組む事になったのがコトの発端だった。初めて一緒にパーティを組む事になった戦士達は、元々同じギルド仲間では無かったという事もあり、ユウたち教会メンバーを置いて先に逃げ出してしまっていた。

 1匹でもやっかいな高レベルのオークたちが、それこそ視界を埋め尽くさんばかりの勢いでこちらに迫って来れば、たとえ屈強な戦士の一団が迎え撃ったとしても退却を余技なくされるだろう。ましてやボスの近くを護るガーディアンとなれば通常の固体よりも強化されているに違いない。

「メイ、そろそろ疲れてきちゃった・・・」

 スタミナが衰えてきたメイを護りながら、このまま逃げ切るのは難しいかも知れないと思い始めると何故か涙が浮かんできた。思えばあの時、本当なら兄の大輔とこのゲームを始めるハズだった。しかし部活からの帰りが遅くなっていて、いつまで待っても帰って来ない兄の代わりに一緒にこの世界へついて来てくれたのがメイだった。

 そして現実世界へと戻れないデスゲームに巻き込まれた事を知った時、何があっても妹のメイだけは最後まで護ろうと心に決めた。最初にログインしたプレイヤー達が集う教会でメイと一緒に過ごせるようにと、同じプリースト系でも近接戦闘に強い僧兵職(モンク)を選んだのは実はそうした理由がある。

「ダメよメイ!もっとちゃんと走って!」

 ゲーム中での死が現実での死である事に懐疑的なせいか、いまいち危機感が乏しいメイを叱咤するが、疲れてきたのはユウも同じで、早く何か良い打開策を見つけない事には2人仲良く戦没者名簿に名前が載るだろう。

「メイ、ここからは先に行って!」

 せめてメイだけでも逃がそうかと考えてはいるが、もし私一人が敵の足止めの為に残ったとしても、メイが私一人をココに置いて行くとは考えられない。この切羽詰まった状況の中で何か良い知恵は無いかと考えてはいるが、まだ何も思い浮かばない・・・。

(本当にもうダメかも知れない・・・こんなゲームに来るんじゃなかった。いえ、来るなら私1人で来るべきだった。)

 自分の前を走らせているメイの背中を見ていると、まだ完全に死ぬと決まったワケでは無いのに後悔の涙で滲んで見えた。逃げるのが遅くなれば遅くなるほど、敵は私たち2人に集中して襲いかかって来るだろう。

 しかし悪い時には何故か悪い事が重なるもので、先行させたメイからの一言で自分たちの窮地を知る事になる。

「ユウちゃん、あの先に何か大きなのが居るよ・・・」

 そこには巨大な獅子の頭と山羊の頭、そして毒蛇の尻尾を持つ合成獣が遠くを眺めて立っていた。本来であれば最低でも8人以上のパーティで挑むべきその巨躯は、ボス・モンスターに設定されているせいか通常より3倍以上も大きな体躯を誇っている。

「いくら何でもアレはムリね、このまま回れ右しましょう・・・」

「うん、メイもそう思う・・・」

 前門の大型キメラと後門の高レベル・オーク。正直なところメイと2人だけではどちらも相手をしたくないのだが、どうしてもと言うなら、やはり後ろのオーク達を選んだ方が生存率は高そうだ。


P-6へつづく
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