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2010.06.15 *Tue

【小説】 「ネットの彼女」 第2話(P-9) / 桂木 けい

 ようやくキノコも集まってベース・キャンプへと歩いて戻る事になるのだが、この時にゲームの事についていろいろと教えて貰う事になった。たとえば私の着てる服はある大会でのみ手に入る数量限定の防具(ハルバート・シリーズというらしい)だという事や、背中にある長剣もビギナー用としては最強ランクのクシナートという剣だという事。(大山め、やっぱりイイものを持ってやがったな)その他にも、この世界のルールやモンスターの事、それにギルドの事などについても教えを頂く事になった。

 ベース・キャンプまではあと2~3フィールドというところまで来て、ライルが急に「シッ!」と言って口にてを当てると、左右を見ては何かを確認してるようだった。

「ああ!来ちゃったよ!!」

「ジャン!!」という効果音の後で、それまではゆっくりと流れていたBGMが、テンポの速い戦闘用のそれに変わる。何かが来たようなのでライルの見ている方向に目を凝らしてみると、先ほど闘ったジャボスをそのまま5倍くらいに大きくしたような、それこそ本当に”恐竜”のようなモンスターが現れて、こちらに向かって来るのが見えた!。また、周りには先ほどのジャボスが10匹くらい群れている。

「何だアレは?!」

「さっき倒したヤツの親玉!早く走って!逃げるよ~><!!」

 気が付くともうライルは5mほど先を走っていた。自慢じゃないが先ほどのザコ1匹でも手間取った私だ、それより5倍も大きな相手と闘うなんて出来る訳が無い、その上ザコが10匹くらいオマケについているのだ。ここは素直に逃げた方が身の為なのはバカでも分かる結論である。

 しかし、このゲームにはスタミナという概念があって、全ての行動に対してそれの消費を行うので、いつまでも走り続けると言う訳には行かない。次のエリアまであと20mを切ったところで疲れてしまいヨロヨロと歩き出す。

 その後方約30mくらいまで敵の一群は迫っており、歩いていたのでは次のエリアへと逃げ切る前に背後から攻撃を受けてしまうだろう。

「ryoさん!ここで止まって(スタミナ)ゲージを回復させて!」

 言われる通りに立ち止まりゲージの回復を待つが、これがなかなか回復しない。武器を構えて迎撃体勢を取ろうとすると・・。

「ryoさん!ゲージが半分まで回復したら逃げるんですよ!」

 抜き身の短刀を手に、防具を持たないライルが前に出る。

「さ!早く!!」「分かった!」

 後ろを彼に任せて、私は残りの20mを進む事にした。後ろからは戦闘の効果音が聞こえて来るが、今の私が行っても足を引っ張るだけだという事が痛いほど理解できるので、ここはおとなしく彼の言う事を聞いておく事にした。

「1匹行ったよ!早く!」

 ライルの忠告を聞きながら私はエリアの出口を目指して走る。あと10m・・・あと5m・・・。もう目の前というところでジャボスの1匹に追いつかれる。背後から蹴り倒されて入口のすぐ前で捕まってしまった!。身体を揺すって拘束から逃れると、もうライルがこちらへと走って来ており、その後ろには親玉さん御一行がシッカリとその後を追いかけてくる。

「行っけ~~~~~~~!」

 ライルが叫び、私は這いながら、その入口をくぐった。

 ここの隣エリアへの入口は小さな洞窟のようになっており、人間よりも大きなモンスターたちが通る事が出来ないようになっていた。そのまま歩かずに少し座り込んでスタミナゲージの回復を図っておく事にする。それはライルも同じだ。

「ふぁ~、たぁ~すかったぁ~」

 私も「ふぅ~」とため息をつく。このようなゲームは始めての経験だった。タイトルとしてCMなどで知ってはいても、実際にプレイするのとは意味が違うという事をマジマジと感じた。ここにいれば、タイトルの売り上げや出荷本数、それにメーカーの株価など、どうでもいい事のように思えて来るから不思議だ。

「まだ時間はありますね?」

 もうあとは平原エリアを歩いていくだけなのだが、またアレに出くわすと少々厄介な事になると気が滅入って来ていた。しかしこの後は何事も無くベース・キャンプへとたどり着り事が出来て、レア・キノコなるモノも無事に納品する事が出来た。

 キノコを採って来いと言われていただけだったので、まさか戦闘になるとは思わなかったが、やはりここでも言われた事だけ鵜呑みにするとヒドイ目に合うという事らしい。今度からは気をつける事としよう。

 そして今回はパートナーに恵まれたようだ、これには素直に感謝をしなければいけない。別れ際にはフレンドと言って今後にお互いを検索出来るようになる申し込みを受けたので承諾をしておいた。

「またね~!」と言ってライルは去って行ったのだが、果たしてまた会う事は有るのだろうか?。少し複雑な気持ちで街を後にした私だった。


(P-10)へつづく!(更新は、一応・・・毎週火曜日の予定です)


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COMMENT

先生w今日のもかなり読み応えありましたよーー^^初心者だった頃をすごく思い出しましたwあるあるあるみたいにwwwこの先がとーっても楽しみですw大変ですけど、最後まで書ききってくださいねw楽しみにしてます^^
2010/06/15(火) 10:02:44 | URL | akane #- [Edit
akaneさんへ♪
おぉ~早速読んで頂けたのですね~ww、
トテモうれしいにゃ!。

最初のうちは何を見てもドキドキしてましたよね~?、
まだまだ、これからもryoさんの冒険(?)は続いていきますよ~。

これからもヨロシクにゃん!。
2010/06/15(火) 10:15:33 | URL | kei #YG9ONXHE [Edit
モンハンしてるからかにゃ~?( ̄ω ̄;)
臨場感がヒシシと伝わってきますぅ><;
も~最後ゎライルさんとリョウ先輩とアタシと『ふぅ~~(・Д・;)』でしたww


あの「見つかった!!」てゆ~感じのBGMにゎ…今でもビクッてなるのにゃ~こわぃにゃ~~><。ww

多分アタシいたら隠密つけて隣のエリアからスコープで覗いてるかも~~(ρД;)
2010/06/15(火) 20:10:13 | URL | Yuffie(ユフィ)☆ #- [Edit
Yuffieさんへ
いつも読んで頂き、ありがとうございます。

MHをプレイされてる方が、
これを読んで臨場感を感じて貰えたのでしたら、
トテモ嬉しいと思います。

>ライルさんとリョウ先輩とアタシと『ふぅ~~(・Д・;)』
Yuffieさんが読んでてどんな感じだったのか?、
良く判って面白いですよね~ww。

いつも面白いコメントをありがとにゃん!。

でわガンバッテ続きを書いておきますね~!。
2010/06/16(水) 06:54:04 | URL | kei #YG9ONXHE [Edit
ん?
ハルバート・シリーズとは
sではないですかww
やはりkeiさんは今、スカラーですけど
男キャラだからギルドバード(ハルバード)に
したようですね~^^
(アクマで推測ですが)
2010/06/16(水) 21:43:54 | URL | LEON #- [Edit
LEONさんへ
ハルバートというのは実在する武器で、
斧と槍を組合せたような形をしていて、
本来でしたら、その武器用の防具だったのです。

(最初は長剣を持たせる予定では無かったのです)

またryoさんが着ていますコートのような服を、
フロンティアの防具の中で探していたのですが、
女性剣士用のハーヴェストがイメージに近いかもしれません。

また長剣クシナートは実は、あるゲームに出て来るのですが、
1字だけモジってあります。
2010/06/17(木) 08:13:22 | URL | kei #YG9ONXHE [Edit
ハルバートと言う武器は知っています
ギルドバードと似ていたのでww
2010/06/18(金) 22:07:06 | URL | LEON #- [Edit
またまたLEONさんへ!
ぉお~ご存知でしたか~ww、
やっぱり”ツウ”ですね!。
2010/06/19(土) 00:45:57 | URL | kei #YG9ONXHE [Edit

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